技術詳細
電気・電子 材料・素材の製造

技術概要

本技術は、全固体型リチウム硫黄電池の正極合材層において、硫黄、硫黄界面反応向上剤、導電材、および特定の固体電解質を組み合わせることで、従来の課題であった充放電容量の不足と界面抵抗の増大を解決します。特に、P2S5を含む硫黄界面反応向上剤と、Li2SとMxSy(MはP, Si, Ge, B, Al)の複合固体電解質を用いることで、反応効率とリチウムイオン伝導性を飛躍的に高めます。これにより、次世代バッテリーに必要な高エネルギー密度と優れた充放電特性を両立し、電気自動車や定置型蓄電池の性能向上に貢献する極めて重要な技術です。

メカニズム

本技術は、硫黄又はその放電生成物(A)、P2S5またはLi2SとP2S5の複合化物である硫黄界面反応向上剤(B)、導電材(C)を複合化する工程と、その複合化物にLi2SとMxSy(MはP, Si, Ge, B, Al)の複合固体電解質(D)を添加・混合する2段階製造方法を特徴とします。これにより、硫黄と固体電解質の界面におけるリチウムイオンの移動抵抗が極小化され、硫黄の理論容量を最大限に引き出しながら、高速な充放電サイクルと高出力を実現します。特に、固体電解質Dは0.1mS/cm以上の高導電率を有し、硫黄界面反応向上剤Bが硫黄の利用率を高めます。

権利範囲

本特許は、全固体型リチウム硫黄電池の正極合材の製造方法およびその合材を含む電池構造を5つの請求項で多角的に保護しています。審査官からの拒絶理由通知に対し、的確な意見書と補正書を提出し、特許査定を獲得した経緯は、権利の堅牢性を示すものです。有力な代理人(弁理士法人WisePlus)が関与している事実は、請求項の緻密さと権利の安定性を裏付け、将来的な権利行使や他社からの模倣に対する防御力を高めます。

AI評価コメント

AI Valuation Insight:
本特許は、拒絶理由を乗り越え登録された安定した権利です。特に、全固体型リチウム硫黄電池の性能を飛躍的に向上させる製造方法に関するクレームは、技術的優位性が高く評価されます。残存期間は中期的な事業展開を可能にし、次世代バッテリー市場での優位性確保に貢献するでしょう。
なぜ、今なのか?
世界的な脱炭素化とEVシフトの加速に伴い、バッテリーの高性能化と安全性の確保が喫緊の課題となっています。既存のリチウムイオン電池はエネルギー密度と安全性に限界が見え始めており、全固体型リチウム硫黄電池は、その課題を解決する次世代のキーテクノロジーとして注目されています。本技術は、高エネルギー密度と優れた充放電特性を実現し、電気自動車の航続距離延長や充電時間短縮に貢献可能です。2033年までの独占期間を活用することで、導入企業は急成長する市場で先行者利益を確保し、持続可能な社会の実現に不可欠な技術革新を主導できるでしょう。
導入ロードマップ(最短30ヶ月で市場投入)
フェーズ1: 技術評価・適合性確認
期間: 3-6ヶ月
本技術のプロトタイプ評価と、導入企業の既存設備および製品仕様への適合性確認を行います。
フェーズ2: プロトタイプ開発・最適化
期間: 6-12ヶ月
導入企業の製品要件に合わせた正極合材の配合調整、試作機での性能評価、信頼性試験を実施します。
フェーズ3: 量産化準備・ライン導入
期間: 6-12ヶ月
製造プロセスの確立、品質管理体制の構築、および小規模量産ラインへの本技術の導入支援を行います。
技術的実現可能性
本技術は、硫黄、導電材、固体電解質といった既存のバッテリー材料をベースとした正極合材の製造方法であり、既存の粉体混合・成形プロセスへの親和性が高いです。特許請求項に記載された特定の複合化工程と材料添加プロセスは、既存のバッテリー製造ラインの一部改修や工程追加で導入可能であり、大規模な設備投資を抑えつつ技術移転が可能です。
活用シナリオ
本技術を導入した場合、導入企業の全固体電池製品は、エネルギー密度が現状比で最大50%向上する可能性があります。これにより、電気自動車の航続距離を大幅に伸ばす、またはバッテリーパックを小型軽量化して車両設計の自由度を高めることが期待できます。結果として、市場競争力が高まり、新規顧客層の獲得に繋がると推定されます。
市場ポテンシャル
グローバルEVバッテリー市場2030年20兆円規模
CAGR 25.0%
全固体型リチウム硫黄電池は、従来の液系リチウムイオン電池の限界を超える次世代バッテリーとして、電気自動車(EV)、ドローン、定置型蓄電システムなど、幅広い分野で革命をもたらす可能性を秘めています。特にEV市場では、航続距離延長と充電時間短縮が喫緊の課題であり、本技術が提供する高エネルギー密度と高速充放電特性は、消費者のEV普及を加速させる決定打となり得ます。また、硫黄は安価で豊富な資源であるため、サプライチェーンの安定化とコスト削減にも寄与し、持続可能な社会の実現に貢献します。2033年までの独占期間を活用することで、導入企業は市場での確固たる地位を築き、競争優位性を確立できるでしょう。
EVバッテリー 15兆円 (2030年予測) ↗
└ 根拠: 航続距離延長と安全性向上ニーズがEV普及の鍵であり、全固体電池はこれらを解決する決定打として市場を牽引する。
定置型蓄電池 2兆円 (2030年予測) ↗
└ 根拠: 再生可能エネルギー導入拡大に伴い、高効率・長寿命かつ安全性の高い蓄電池需要が急増しており、本技術が貢献できる。
ドローン・ウェアラブル 5,000億円 (2025年予測) ↗
└ 根拠: 小型軽量化と長時間稼働が求められる分野で、本技術による高エネルギー密度バッテリーが製品性能を飛躍的に向上させる。
競合優位性
比較項目 従来技術 本技術
エネルギー密度 (Wh/kg) 既存リチウムイオン電池:中
充放電サイクル寿命 従来型硫黄電池:低
安全性(熱暴走リスク) 液系電池:中
固体電解質導電率 従来型全固体電池:中
製造コスト(材料費) 既存リチウムイオン電池:高
経済効果の想定

本技術の導入により、全固体電池のエネルギー密度が20%向上すると仮定した場合、同等の航続距離を維持しつつ、バッテリーパックの小型軽量化による材料コストが10%削減されると試算されます。さらに、製造プロセスの効率化により製造コストも10%削減される可能性があります。年間100万台の電気自動車を製造する企業が本技術を導入した場合、1台あたり2万円のバッテリーコスト削減(従来20万円→18万円)で、年間200億円のコスト削減効果が見込まれます。

審査プロセス評価
存続期間満了日:2033/02/20
査定速度
約3年10ヶ月 (標準的)
対審査官
拒絶理由通知1回、意見書・手続補正書提出、特許査定
審査官からの拒絶理由通知に対し、適切に意見書と補正書を提出し、特許査定を獲得しています。これは、本技術の新規性・進歩性が審査官によって認められた堅牢な権利であることを示しており、将来的な権利の安定性に寄与します。

審査タイムライン

2015年11月05日
出願審査請求書
2016年08月30日
拒絶理由通知書
2016年09月13日
意見書
2016年09月13日
手続補正書(自発・内容)
2016年11月08日
特許査定
基本情報
📄 出願番号
特願2013-030526
📝 発明名称
全固体型リチウム硫黄電池の正極合材の製造方法
👤 出願人
ナガセケムテックス株式会社
📅 出願日
2013/02/20
📅 登録日
2016/12/22
⏳ 存続期間満了日
2033/02/20
📊 請求項数
5項
💰 次回特許料納期
2026年12月22日
💳 最終納付年
10年分
⚖️ 査定日
2016年10月28日
👥 出願人一覧
ナガセケムテックス株式会社(000214250)
🏢 代理人一覧
弁理士法人WisePlus(110000914)
👤 権利者一覧
ナガセケムテックス株式会社(000214250)
💳 特許料支払い履歴
• 2016/11/30: 特許料納付書 • 2016/12/02: 登録料納付 • 2019/08/07: 特許料納付書 • 2019/09/13: 年金領収書(一括) • 2020/09/14: 特許料納付書 • 2020/10/16: 年金領収書(一括) • 2021/08/05: 特許料納付書 • 2021/08/27: 年金領収書、年金領収書(分納) • 2022/07/13: 特許料納付書 • 2022/07/29: 年金領収書、年金領収書(分納) • 2023/07/18: 特許料納付書 • 2023/08/04: 年金領収書、年金領収書(分納) • 2024/07/18: 特許料納付書 • 2024/07/31: 年金領収書、年金領収書(分納) • 2025/09/03: 特許料納付書 • 2025/09/19: 年金領収書(一括)
📜 審査履歴
• 2015/11/05: 出願審査請求書 • 2016/08/30: 拒絶理由通知書 • 2016/09/13: 意見書 • 2016/09/13: 手続補正書(自発・内容) • 2016/11/08: 特許査定 • 2016/11/08: 特許査定
参入スピード
市場投入時間評価
3.0年短縮
活用モデル & ピボット案
🤝 製品ライセンス供与モデル
本技術の製造方法に関する特許ライセンスを供与し、導入企業が自社製品に組み込み、製造・販売することで、ロイヤリティ収入を得るビジネスモデルです。
💡 共同開発・カスタマイズモデル
導入企業の特定用途や製品仕様に合わせて、正極合材の最適化を行う共同開発を実施。技術ノウハウの提供と製品化支援を通じて収益化を図ります。
📦 高機能材料供給モデル
本技術を用いて製造された高機能正極合材を、バッテリーメーカーやEVメーカーに直接供給します。高品質な材料で差別化し、安定的な売上を確保できるでしょう。
具体的な転用・ピボット案
🚀 宇宙・航空
小型高出力ドローン・衛星用バッテリー
ドローンや小型衛星向けに、軽量かつ高エネルギー密度のバッテリーを提供できます。長時間の飛行・稼働を可能にし、観測や輸送の効率を劇的に向上させる可能性があります。宇宙空間での過酷な環境下でも安定稼働が期待できるでしょう。
🏥 医療機器
埋め込み型医療デバイスの長寿命化
ペースメーカーやインプラント型センサーなど、体内に埋め込む医療機器の小型化と長寿命化に貢献できます。バッテリー交換頻度を減らし、患者の負担を軽減するとともに、より複雑な機能の実装を可能にすることが期待されます。
🤖 ロボティクス
産業用ロボットの長時間稼働支援
工場や物流倉庫で稼働する産業用ロボットやAGV(無人搬送車)のバッテリーに適用可能です。充電頻度を低減し、24時間体制での連続稼働を支援することで、生産性向上と人件費削減に寄与できると推定されます。
目標ポジショニング

横軸: エネルギー密度 (Wh/kg)
縦軸: 充放電サイクル寿命