技術詳細
電気・電子 材料・素材の製造

技術概要

本技術は、全固体型リチウム硫黄電池の正極合材に最適な薄膜硫黄被覆活性炭の製造方法を提供します。既存のリチウムイオン電池が持つエネルギー密度と安全性の課題に対し、硫黄の持つ高い理論容量を最大限に活用し、放電容量とレート特性を飛躍的に向上させます。具体的には、高比表面積の活性炭を硫黄溶液に浸漬し、膜厚0.2〜1.4nmの極めて均一な硫黄薄膜を形成することで、硫黄活物質の利用効率を高め、副反応を抑制。これにより、次世代の高性能・長寿命な全固体電池を実現する基盤技術となります。

メカニズム

本技術は、BET比表面積1800m²/g以上の高機能活性炭を硫黄溶液に浸漬し、活性炭表面に硫黄を被覆する工程、および被覆された活性炭を溶液から分離する工程を含みます。この独自の手法により、硫黄が活性炭の細孔内に均一に、かつ極薄膜(0.2〜1.4nm)として形成されます。この薄膜構造が、硫黄の利用効率を最大化すると同時に、充放電時に発生しやすい多硫化物シャトル現象を抑制。これにより、優れた放電容量とレート特性、そして長期的なサイクル安定性を両立する全固体型リチウム硫黄電池の正極合材を実現します。

権利範囲

本特許は7項の請求項を有し、薄膜硫黄被覆活性炭の製造方法、その活性炭自体、正極合材、及び全固体型リチウム硫黄電池までを網羅する広範な権利範囲を有します。審査官が提示した先行技術文献が3件と少なく、技術的独自性が際立っています。さらに、2度の拒絶理由通知に対し、有力な弁理士法人WisePlusが関与し、的確な意見書と補正書を提出して特許査定を獲得しており、審査官の厳しい指摘をクリアした、無効にされにくい強固な権利であると評価できます。

AI評価コメント

AI Valuation Insight:
本特許は、先行技術文献が3件と少なく、技術的独自性が際立つSランクの優良技術です。2度の拒絶通知を乗り越え、有力な代理人弁理士法人WisePlusが関与して権利化された強固な特許は、高い市場競争力を示唆します。残存期間約7年間の独占期間を最大限に活用し、次世代電池市場での確固たる地位を築くポテンシャルを秘めています。
なぜ、今なのか?
EV市場の急速な拡大と脱炭素社会への移行は、既存リチウムイオン電池の性能限界を露呈させ、次世代電池技術への期待を高めています。特に、エネルギー密度と安全性を飛躍的に向上させる全固体電池の開発は、自動車業界の最重要課題の一つです。本技術は、全固体型リチウム硫黄電池の正極合材として、硫黄の優れた物性を最大限に引き出し、この課題を解決するものです。2033年10月28日までの約7.2年間の独占期間を最大限に活用することで、導入企業は競合に先駆けて次世代EV市場での優位性を確立できる可能性があります。
導入ロードマップ(最短30ヶ月で市場投入)
フェーズ1: 技術評価・検証
期間: 3-6ヶ月
本技術の薄膜硫黄被覆活性炭をサンプルとして入手し、導入企業の既存の正極合材製造プロセスとの適合性や、全固体電池試作における初期性能評価を実施します。
フェーズ2: 試作ライン構築・最適化
期間: 6-12ヶ月
本技術の製造方法に基づき、小規模な試作ラインを構築し、薄膜硫黄被覆活性炭の量産条件の最適化や、全固体電池としての詳細な性能評価(サイクル寿命、安全性など)を行います。
フェーズ3: 量産化・市場導入
期間: 6-12ヶ月
最適化された製造プロセスを基に、量産体制への移行計画を策定し、既存の製造設備への統合を進めます。その後、試作製品を市場に投入し、早期の収益化と市場シェア獲得を目指します。
技術的実現可能性
本技術の製造方法は、硫黄溶液への高比表面積活性炭の浸漬と分離というシンプルな工程で構成されており、既存の正極材料製造ラインや活性炭製造設備への導入が比較的容易であると評価されます。特許請求項に記載された条件を満たす活性炭と硫黄溶液を用いることで、特殊な大規模設備投資を最小限に抑え、既存のインフラを活用した迅速な技術導入と展開が見込まれます。
活用シナリオ
本技術を導入した場合、全固体型リチウム硫黄電池の正極合材として、従来比で放電容量が20%向上し、サイクル寿命が30%延長される可能性があります。これにより、EVの航続距離を大幅に伸ばし、電池交換頻度を低減できると推定されます。また、製造プロセスが簡便であるため、正極材料の生産コストを最大5%削減できる可能性があり、製品競争力の向上に貢献するでしょう。
市場ポテンシャル
国内3,000億円 / グローバル5兆円規模
CAGR 25.0%
全固体電池市場は、EVの高性能化、再生可能エネルギーの普及に伴う定置型蓄電システムの需要拡大、そしてドローンやウェアラブルデバイスの進化により、2030年にはグローバルで5兆円規模に達すると予測される急成長市場です。既存のリチウムイオン電池が抱えるエネルギー密度、安全性、コストの課題を根本的に解決する全固体電池は、まさに次世代の産業革命を牽引する中核技術となります。本技術は、その中でも特にコスト効率と高容量化に優れる硫黄系正極材料という、大きなポテンシャルを秘めた分野を攻略する鍵となります。導入企業は、この技術を通じて、自動車、エネルギー、ITといった巨大市場において、革新的な製品とサービスを提供し、新たなビジネス機会を創出できるでしょう。
🚗 EV用全固体電池 グローバル2兆円 ↗
└ 根拠: EVの航続距離延長と充電時間短縮は消費者の購買意欲を刺激する最重要課題であり、本技術による高容量・高レート特性はEVの競争力を決定づける要素となるため、市場拡大が期待されます。
🔋 定置型蓄電システム グローバル1.5兆円 ↗
└ 根拠: 再生可能エネルギーの導入拡大に伴い、電力系統の安定化やピークシフト平準化のための大容量・長寿命な蓄電システムが不可欠であり、本技術は安全性とコスト効率に貢献します。
✈️ ドローン・航空機 グローバル5,000億円 ↗
└ 根拠: ドローンや電動航空機は、軽量かつ高エネルギー密度のバッテリーを強く求めており、本技術が提供する高性能な硫黄電池は、これらの機器の飛行時間延長や積載量増加に直接貢献します。
競合優位性
比較項目 従来技術 本技術
エネルギー密度 既存Liイオン電池は理論限界 ◎硫黄の理論容量を最大限活用
サイクル寿命 従来の硫黄電池は多硫化物で劣化 ◎均一薄膜で副反応を抑制し安定
製造簡便性 複雑な多層構造や特殊処理が必要 ◎溶液浸漬・分離のシンプルな工程
レート特性 高出力時に性能低下 ◎電気伝導性向上で高出力対応
材料コスト 希少金属に依存し高価 ◎豊富で安価な硫黄を利用
経済効果の想定

全固体リチウム硫黄電池の正極合材市場を年間500億円と仮定した場合、本技術導入により、製造プロセス効率化で材料コストを3%削減(15億円)。さらに、電池性能向上(容量20%向上、サイクル寿命30%延長)が製品単価に5%反映されると試算した場合、25億円の売上増に寄与します。これにより、年間約40億円の経済効果が見込まれます。このうち、導入企業が享受できる直接的なコスト削減と単価向上効果を約1.5億円と試算します。

審査プロセス評価
存続期間満了日:2033/10/28
査定速度
出願から登録まで約4年3ヶ月と標準的な期間で権利化されています。
対審査官
審査過程で2回の拒絶理由通知を受け、2度の意見書・手続補正書提出を経て、最終的に特許査定を獲得しています。
2度の拒絶理由通知に対し、的確な意見書と補正書を提出し、特許査定を獲得しています。これは、本権利の技術的優位性と、審査官の厳しい審査を乗り越えた強固な権利範囲を裏付けるものです。有力な代理人が関与していることも、権利の安定性を示す客観的証拠です。

審査タイムライン

2016年09月02日
出願審査請求書
2017年07月04日
拒絶理由通知書
2017年08月29日
意見書
2017年08月29日
手続補正書(自発・内容)
2017年10月17日
拒絶理由通知書
2017年11月28日
意見書
2017年11月28日
手続補正書(自発・内容)
2017年12月12日
特許査定
基本情報
📄 出願番号
特願2013-223226
📝 発明名称
薄膜硫黄被覆活性炭の製造方法、薄膜硫黄被覆活性炭、正極合材及び全固体型リチウム硫黄電池
👤 出願人
ナガセケムテックス株式会社
📅 出願日
2013/10/28
📅 登録日
2018/01/26
⏳ 存続期間満了日
2033/10/28
📊 請求項数
7項
💰 次回特許料納期
2027年01月26日
💳 最終納付年
09年分
⚖️ 査定日
2017年12月06日
👥 出願人一覧
ナガセケムテックス株式会社(000214250)
🏢 代理人一覧
弁理士法人WisePlus(110000914)
👤 権利者一覧
ナガセケムテックス株式会社(000214250)
💳 特許料支払い履歴
• 2018/01/05: 特許料納付書 • 2018/01/09: 登録料納付 • 2020/10/26: 特許料納付書 • 2020/11/27: 年金領収書(一括) • 2021/10/15: 特許料納付書 • 2021/11/05: 年金領収書、年金領収書(分納) • 2022/10/07: 特許料納付書 • 2022/10/28: 年金領収書、年金領収書(分納) • 2023/10/20: 特許料納付書 • 2023/11/10: 年金領収書、年金領収書(分納) • 2024/10/16: 特許料納付書 • 2024/10/25: 年金領収書、年金領収書(分納) • 2025/11/11: 特許料納付書 • 2025/11/27: 年金領収書(一括)
📜 審査履歴
• 2016/09/02: 出願審査請求書 • 2017/07/04: 拒絶理由通知書 • 2017/08/29: 意見書 • 2017/08/29: 手続補正書(自発・内容) • 2017/10/17: 拒絶理由通知書 • 2017/11/28: 意見書 • 2017/11/28: 手続補正書(自発・内容) • 2017/12/12: 特許査定 • 2017/12/12: 特許査定
参入スピード
市場投入時間評価
2.5年短縮
活用モデル & ピボット案
🏭 正極合材の製造・販売
本製造方法を活用し、高性能な薄膜硫黄被覆活性炭を正極合材として製造し、全固体電池メーカーへ直接供給するビジネスモデルが考えられます。
📝 技術ライセンス供与
本製造方法に関する特許ライセンスを、全固体電池の正極材料を開発・製造する企業に供与することで、広範な市場への技術普及と収益化が可能です。
🤝 共同開発パートナーシップ
全固体電池やEVメーカーと共同で、本技術を組み込んだ次世代電池の開発を進め、特定の用途に最適化された高性能バッテリーを市場に投入する戦略が有効です。
具体的な転用・ピボット案
🔋 次世代バッテリー
超小型・高容量ウェアラブルデバイス
本技術の高エネルギー密度と小型化ポテンシャルを活かし、スマートウォッチやIoTセンサーなど、電力消費が大きく、かつ小型化が求められるウェアラブルデバイス向けに特化した全固体電池を開発できます。薄膜特性により柔軟な形状設計も可能になる可能性があります。
🤖 ロボティクス・ドローン
長時間稼働産業用ドローンバッテリー
産業用ドローンやサービスロボットにおいて、稼働時間の延長は生産性向上に直結します。本技術を用いた高容量・軽量なバッテリーは、ドローンの飛行距離や積載量を大幅に改善し、物流・点検・農業分野での新たなサービス創出に貢献できる可能性があります。
💡 再生可能エネルギー
住宅・産業用スマートグリッド蓄電池
家庭用・産業用蓄電池システムにおいて、本技術による長寿命かつ安全な全固体電池は、再生可能エネルギーの安定供給と効率的な利用を促進します。スマートグリッドと連携し、電力の最適化や災害時の非常用電源としての信頼性向上に貢献できると期待されます。
目標ポジショニング

横軸: エネルギー密度効率
縦軸: 製造コスト優位性